交通事故の後遺症に多い頚椎捻挫
「むち打ち」の正式な傷病名は頚椎捻挫です。主に後方から追突されて、ムチを打つように加速しながら首がしなる事で頚椎と周辺の組織を損傷します。その多様な症状が出てきて、後遺症も起こりやすいむち打ちは頚椎捻挫型・神経根症型・脊髄損傷型に分かれ、整形外科や整骨院で治療を受けられる方が一般的です。
＊本ページは当院の考えをまとめたもので、必ず患者さん自身で判断を行う事や当院の施術を勧めるものではありません。先ずは医師の診断を受け適切な治療を受けてください。
なぜ？むち打ちが起きるのか？
上に述べたように、交通事故で主に後方より、またはいろんな角度で追突された衝撃で「ムチがしなる」様に頚椎が捻挫をして、頸椎や頚椎周辺を損傷します。
ハンマーに似ている人間の首と頭
人間の頭部は個人差はありますが、およそ5〜8キロ。
その重さを支える首の支える強度を「もの」に例えると、写真の陸上競技で使われるハンマー投げのハンマーが一番適当なんだとの事。
もちろんハンマーが頭部でワイヤー部が首（頚椎）に相当するわけです。
単純にそんな重さの頭部を支えてるだけでも、奇跡的にバランスを取りながら我々は日常を過ごしているわけです。
そんな奇跡的にバランスをとってる状態で、不意に後ろから追突されたらどうなるでしょうか。
首を支える筋肉はもちろん、頚椎の関節部を通過する神経部や、頚椎の中に存在する脊髄を損傷する可能性だってあるわけです。
先ずは整形外科の医師の診断を受けて下さい。初診の診断書の診断名に基づいて治療が行われます。初診後は整形外科でも整骨院でも患者さんの意志で通院先を決めることが出来ます。
むち打ちの症状とは
損傷型により症状は様々ですが、主に以下の症状が挙げられます。
- 痛み（首の後ろ、前部、側面、頭部、頚椎、肩、腕）
- コリ、重たさ（首、肩、背中）
- 動かない（首が回らない、動かすと痛い）
- めまい、目のかすみ、目の疲労感、視力の低下
- 耳鳴り、吐き気
- 握力低下、足や指先のまひ
- その他（シビレや倦怠感）
頚椎捻挫・頚部挫傷
むち打ちのほぼ8割くらいはこの損傷型になります。頸椎や周辺の筋肉を損傷しているため、首や肩を動かすと痛い。腕のしびれやだるさなどが症状です。
バレールー症候群
後頸部交感神経症候群とも呼ばれ、自律神経を損傷するため、症状が多岐になります。
主に頭痛・めまい・耳鳴り・吐き気・などですが、動悸や発汗・目のかすみなども症状としてあり、診断と治療が難しいとされています。
神経根症状
脊髄から出ている神経を圧迫したり、引っ張る力が加わり損傷するタイプです。
神経を損傷するので安静時にもしびれや痛み、動かすと神経に沿って激痛が走るのが特徴です。
脊髄損傷
本来、頚椎〜胸椎〜腰椎と連なっている脊柱（背骨）に存在する脊髄を損傷するものです。
人間の体の動きを支配するものですから、身体の麻痺、歩行障害、知覚障害など重大な症状となります。
脳髄液減少症
MRIなどの診断で整形外科の専門医でないと診断出来ないものです。
交通事故の衝撃で一時的に脊髄内の髄液圧が上昇し、硬膜が損傷し、髄液が漏れ出てしまうことで出る症状です。
自律神経の症状と同様に、頭痛や精神的な不安やイライラ、寝付けれない、痛みだけでなく、耳や目、味覚の異常なども症状で訴える方がいる様です。
むち打ち・頚椎捻挫での治療は整形外科と整骨院へ
整形外科での治療
上に述べた多岐にわたる症状を考えても、交通事故後は、先ずはレントゲンやMRIがある整形外科で受診されることをオススメ致します。
そして、痛いところの診断名がある診断書を作成してもらって下さい。
その診断名に基づいて今後の治療が行われます。
具体的に整形外科の治療は、痛み止めの湿布や飲み薬、電気治療、痛みが強いと注射などと「痛みを抑える」治療が行われます。
それでも通院時間が取れない、症状がなかなか取れないという方は整形外科に受診された後に整骨院に並行して通院されることをお勧めいたします。
整骨院での治療
当院の施術内容は、首まわりに「電気をかけてもみほぐす」というものではありません。
根本的に改善していくように、むち打ち・頚椎捻挫で損傷している第1第2第3頚椎の上位頚椎と頚椎と胸椎移行部、を適切に整復していきます。その上位頸椎や頚椎胸椎移行部が偏位したり、炎症を起こすことが、不定愁訴や自律神経の症状も引き起こすことがわかっているからです。
また、交通事故後のむち打ち症の治療を、柔道整復師が行う整骨院・接骨院で行うと保険が使えないとよく言われますが、それは間違いです。
自賠責保険の保険金の支払い基準に、以下の規定がなされているため、整骨院・接骨院の費用は加害者に請求することが可能となります。
積極損害のうちの治療関係費として、次のように記されています。
柔道整復等の費用
免許を有する柔道整復師、あんま・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師が行う施術費用は、必要かつ妥当な実費とする。
と決まっておりますので、被害者である患者さん自身が、通院する整骨院は決定することが出来ます。
後遺症認定は整形外科の医師に
後遺症の症状が残らないのが一番ですが、もしも後遺症が残る場合は整骨院では認定できません。
後遺症認定の書類は整形外科の医師にしか書けませんので、通院時間が取れない時でも、月に一度は医師の経過診察を受診され良好な関係でいることが必要です。
